【プレスリリース】AIスタートアップのRecursive、教材出版社の教育同人社向けに児童の手書き解答を自動で正誤判定するAIモデルを開発
AIPress release2025-01-21
~ひっ算のわり算や小数を含む計算問題にも対応。今後は採点・集計機能も拡充し、教員の業務軽減と教務充実にも寄与~
サステナブルな事業変革を促進するAIソリューションを開発する株式会社Recursive(本社:東京都渋谷区、代表取締役:ティアゴ・ラマル、日本語:リカーシブ、以下「Recursive」)は、教育現場におけるデジタル化の推進と教員の業務軽減化に貢献すべく、小・中学校用の学校教材を発刊する株式会社 教育同人社(以下「教育同人社」)向けに、児童が手書き解答した紙の計算ドリルを、自動で正誤判定するAIモデルを開発したことをお知らせいたします。本AIモデルは、教育同人社が提供する小学生向け計算ドリル(紙)に対し、従来通り児童が手書きで解答し、児童自身がタブレット端末のカメラで撮影すると、AIが正誤判定を行います。対象となるのは小学1年から6年までの計算問題で、横算形式のみならず、従来AIによる読み取りや文字判定が技術的に困難であったひっ算形式や小数の四則演算にも対応しております。
教育同人社とRecursiveはAIを活用して、従来多くの手間や時間を要していた紙教材の答え合わせに関する一連の作業の軽減と正確性、学習記録のデータ化、更には教員による児童の学習状況の見取りやすさを目指しており、その取り組みの初期フェーズとして、自動正誤判定機能を実現しました。
これにより、学年問わず答え合わせを児童自身で行うことができるなど、教員の業務の負担を減らし、逆に教員でなければできない教務の充実や児童一人一人に寄り添った指導ができるなど、教育の質の向上にも寄与することもできます。さらには紙教材をデジタルへと繋ぐことで、日本の教育現場の教育データの利活用にも貢献していきたいと考えております。
本AIモデルは教育同人社の協力のもと、2025年上半期を目途に一部の公立小学校でモニターが実施される予定です。また、本AIモデルは現在、教育同人社により特許出願中であるほか、AIエンジン名『MITORU』として2024年12月27日に商標登録が出願されました。Recursiveは引き続き教育同人社と連携し、さらなる技術の高度化と活用範囲の拡大を目指して、本AIモデルの機能拡充と発展に取り組んでまいります。
【背景と現状の課題】 教育現場の環境が近年複雑化・煩雑化し、教員に求められることも大きく変化する中で、教員の長時間労働が常態化し、深刻な社会問題となっています。このような背景を踏まえ、文部科学省は教員の働き方改革を推進しており、その一環として教育現場でのDX(デジタル・トランスフォメーション)が進められています。特に、教育現場におけるICT環境の充実を目指す国策として推進されている「GIGAスクール構想」(※1)では、第二期において端末やネットワークのインフラ強化だけでなく、学習支援ツールやデジタル教材の普及が進み、個別最適な学びが一層強化されることが期待されています。
その一方で、日本の教育においては紙教材の需要が依然として高く、特に小学校では、紙を使った学習の方が取り組みやすい内容も多くあり、それに伴う答え合わせに教員の時間が費やされていることも事実です。
このような背景の中、Recursiveは、AIのカスタム開発に強みを持ち、教育同人社が描く持続可能な教育活動の実現に向けたビジョンを共有する企業として評価され、教育同人社の開発パートナーに選ばれました。教育同人社がこれまで学校教材の発刊にとどまらず、変化する教育現場のニーズに柔軟に対応しながら、さまざまな形で教員を支援してきた使命感に共鳴し、Recursiveは紙教材をデジタルへと繋ぐAIモデルの開発に取り組む運びとなりました。
【取り組み・技術の概要】 このような背景を踏まえ、Recursiveは自社開発して提供しているドキュメントの分析・解析のAIツール「FindFlow」(ファインドフロー)と画像などのメディアを分析・生成するAIツール「PixelFlow」(ピクセルフロー)を組み合わせてカスタマイズし、教育同人社向けに、小学校算数の計算問題の正誤判定・採点・成績集計ができるAIモデルの開発に着手しました。その第一段階として正誤判定機能を実装し、手書き解答をAIが自動で判定できる仕組みを構築しました。
本AIモデルでは、児童が紙教材に手書きした解答をスマートフォンやタブレット端末のカメラで撮影すると、AIが解答を自動認識します。高度な物体検出およびOCR(光学式文字認識)技術を用いて、手書きの数字や記号をテキストデータに変換し、正解データとの照合を行い、迅速な正誤判定を実現しています。
AIモデルのトレーニングには、教育同人社がこれまでに蓄積した多くの教材データを活用し、汎用性を高めるための徹底的な学習が行われました。その結果、横算形式と整数の四則演算に加え、従来のAIでは技術的な課題が大きかったひっ算形式や小数を含む四則演算の正誤判定も可能となり、高度かつ柔軟な判定が実現しました。
【今後拡充予定の機能】 小学校算数の計算領域に関連する判定範囲の拡充と、紙教材の採点から結果を自動集計機能の搭載により、個別最適な学びに繋げたり、教育現場の教育データの利活用が行うことができるよう進めて参ります。
Recursiveは今後とも、本AIモデルの開発と教育現場における導入を通じて、次世代を担う子どもの成長に欠かせない教員の働き方改革に貢献し、教員と子どもたち双方にとって持続可能な教育環境の実現を目指してまいります。
画像1:手書き解答をウェブアプリで撮影した際の、正誤判定のイメージ(1)
画像2:手書き解答をウェブアプリで撮影した際の、正誤判定のイメージ(2)
画像3:手書き解答をウェブアプリで撮影した際の、正誤判定のイメージ(3)
※1 GIGAスクール構想:GIGAは、Global and Innovation Gateway for All(全ての児童・生徒のための世界につながる革新的な扉)の略。1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、特別な支援を必要とする子供を含め、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる教育ICT環境を実現することを目指す構想。(出典:文部科学省(令和6年9月30日)『デジタル学習基盤に係る現状と課題の整理(案)』)
【株式会社Recursiveについて】 持続可能な未来を構築するための AI ソリューションを提供するサービスプロバイダーです。環境、エネルギー、医療、製薬、食品、小売など多岐にわたる業界の知見と高度な技術力、サステナビリティ事業に関する専門知識を組み合わせ、AI のシステム開発やコンサルテーションサービスを提供しています。より良い地球環境や社会を未来の世代に残すために、比類なきプロフェッショナルが世界標準のテクノロジーで新しい社会つくりをリードします。
会社名: 株式会社Recursive (英語名称:Recursive Inc.) 本社所在地:東京都渋谷区渋谷一丁目7番1号 渋谷S-6ビル 6階 設立: 2020年8月 共同創業者:ティアゴ・ラマル / 山田勝俊 事業内容: AIの研究開発およびサステナビリティに関連するソリューションの提供 従業員数: 47名 URL: https://recursiveai.co.jp/ja/
【本件に関するお問い合わせ先】 株式会社Recursive 広報担当:岸本 Email: marika.kishimoto@recursiveai.co.jp 電話番号:090-9847-7832 (岸本直通)