【プレスリリース】弊社COO山田勝俊が登壇 東急不動産ホールディングス主催「不動産業界におけるAIの脅威と活用可能性」セミナーレポート 〜渋谷における活用や、社員に必要な心がけなど、AIの可能性を多面的に解説〜

EventPress release2023-08-07

【プレスリリース】弊社COO山田勝俊が登壇
東急不動産ホールディングス主催「不動産業界におけるAIの脅威と活用可能性」セミナーレポート
〜渋谷における活用や、社員に必要な心がけなど、AIの可能性を多面的に解説〜の表紙画像

株式会社Recursive(本社:東京都渋谷区 代表取締役:ティアゴ・ラマル、以下「リカーシブ」)は、東急不動産ホールディングス株式会社(本社:東京都渋谷区、以下「東急不動産HD」)に協力し、共同創業者兼取締役COOの山田勝俊が東急不動産HDグループの社員向けに「生成系AIとカスタムAIから見る不動産業界におけるAIの脅威と活用可能性」という題目でのセミナーに登壇しました。今回はその概要をご紹介します。

写真左から、東急不動産HD青木氏、リカーシブ山田氏、オルツ國安氏

登壇者は、1994年に東急不動産に入社し、都市事業ユニットでアセットの開発企画したのち東急不動産HD グループDX推進部の統括部長として、 DXの全体戦略の策定などを行なっている青木貴弘氏(以下「青木氏」)、AIクローン技術でつくり出すパーソナルAIの開発および実用化を行う株式会社オルツ(本社:東京都港区 以下、オルツ)のAI DX コンサルタント 兼 事業開発マネージャー國安雄氏(以下、國安氏)、2020年にティアゴ・ラマル氏と共にリカーシブを設立した山田勝俊氏(以下、山田氏)の3人。トークセッションがスタートしました。

Q1.生成AIを社内で使うときの課題と不動産業界で展開できるアイデアについて

オルツの國安氏より、AIという道具を使うことは大切な観点ですが、そのAIを使ってどのような価値を生み出すかが、さらに重要だという話が挙げられました。企業内でChatGPTを導入したものの、ほとんどの社員が活用できていないという相談を多く受けますが、これは考え方としては逆にすべきで、まず自然言語モデルを使ってどんな価値を生み出すか考える必要がある、と説明されました。

続けて、不動産業界における過去の経験から感じた3つの観点について話されました。國安氏によると、不動産業界ではデジタル化が進んでいない部分があり、例えばテンプレート化が困難な営業のノウハウを人に伝えられていない場合、それをデータという形として蓄積し、自然言語モデルを学習させて自動化する仕組みを考えることが重要だと説きます。次に、不動産業界に存在する位置情報や価格情報などの多くの情報を集め、AIに学習させることで有益だと続けます。

最後に、メールの自動化など、効率化が必要な点も考慮すべきで、これらの3つの改善に目を向けることで、不動産業界のデジタル活用を進めることができるでしょう、と説明されました。

Q2. 東急不動産の再生可能エネルギー事業(太陽光、風力)における活用の可能性について

リカーシブの山田氏が、リカーシブ社のプロダクトであるBorealis(以下、ボレアリス)を使い、再生可能エネルギーの発電量シミュレーションについて話を始めました。再生可能エネルギーは日本だけでなく、世界的にも興味を持たれているテーマで、ボレアリスでは、太陽光や風力など気象のデータをもとに、AIを使って発電量のシミュレーションが可能であり、そこに自然災害を考慮してハザードマップなども組み込むことで、より精密なシミュレーションができる、と説明します。そして、ボレアリスでは100メートル単位でのシミュレーションができる精度を持つため、小規模用地での再生可能エネルギー事業をサポートできる、と付け加えました。

またボリアリスは、発電量のシミュレーションだけでなく、気候の影響による人間の行動の変化を考慮し、需要予測など気候に影響される課題を解決するためにも活用可能だと述べます。今後は、気候に関連するさまざまな課題の解決に向けて、ボリアリスを活用していくことを目指しているとのことでした。

Q3.渋谷の街でAIを活用するアイデア

東急不動産HDの青木氏より、渋谷のような都市部では多くの情報が蓄積されていて、それを活用する方法について意見が求められました。

國安氏は、人の声に含まれる豊富な情報に加え転送情報を取り入れることで、場所の価値がより多次元的に評価できるかもしれない、と話し始めました。例えば、ポジティブなイメージの場所にはマーケティング効果を高める施策を、ネガティブな場所には集客策を考えるなど、マーケティングや都市計画に応用できる可能性があると説明しました。

また山田氏は、2026年に日本初の本格的な木造商業施設として開業する予定の渋谷マルイについて触れ、サステナビリティを考慮しつつ、洗練された外観デザインを提案することで、渋谷の街に新たな価値を創出できるかもしれないと話しました。具体的には、複数デザインの提案、CO2排出を考慮した設備や建築素材の選定などをAIが考え、洗練された魅力的なデザインに仕上げることを目指せると述べました。こうしたアイデアについては、AIの能力をベースに、人間がブラッシュアップすることで、渋谷の街における新しい魅力的なスポットが生まれ、世界中から注目される可能性を感じている、と解説を付け加えました。

Q4.東急不動産HDグループで展開している事業で実践的にAIを取り入れていく方法について

昨今、インバウンド需要が高まり、海外からの観光客が増えているが、十分なおもてなしをするためには宿泊施設の人材不足という課題があり、AIを活用したシフト作成、リソース最適化などで解決を図ったり、不動産の仲介事業においてもAIを使ってお客様サービスを向上させることはできるかなど、いくつかの取組事例が社内でも出てきているが、AIのプロフェッショナルである二人がAI活用についてどう考えるのかを知りたいと、青木氏より質問がありました。

國安氏は、東急不動産HDの顧客が重視しているのは、一般的な質問に対する早急かつ適切な回答なので、これに関しては全体の8割の対応がAIによって代替できる可能性があると考えていると述べられました。早急で正確な回答ができる部分をカバーすることで、残りの2割に対しては人間がホスピタリティを発揮できるような共存が実現できると説明されました。また、お客様サービス向上という点では、ただのチャットボットではなくアバターやクローンなどを活用して返答するという選択肢も考えられると付け加えました。

山田氏も、インバウンドの価値は日本の経済にとって非常に重要だから、多言語対応を得意とするAIを活用すべきだと力説しました。テクノロジーを駆使して人間にしかできないおもてなしや創造的なことなどへ集中することで、日本の観光産業に付加価値がつく、と國安氏の意見に同意しました。また自らも多国籍の同僚に囲まれている環境を例にとり、言葉の壁が生成AIによって極端に低くなる時代が訪れると考えられる、と述べました。

Q5.社内でAI導入・運用をする際に、社員が心がけることとは

青木氏から新たな相談が挙げられました。

不動産業の場合、建築や関連法、税務、会計など様々な専門知識が必要ですが、同時にデジタルやAIの知識も新しく身につけることで、各分野の専門家と協力しながら、実務を進めていくことが大切だと考えている、という。では実際に、デジタルやAIの知識を身につけるために、重要なポイントや考えていることがあれば教えてください、と述べられました。

山田氏はお勧めできる3つの試してほしいことを提言しました。まずは、自分自身をアップデートする習慣を作ること。例えば、SNSを活用して興味あるメディアをフォローすることで、常に新しい情報を取得し、疑問や興味があるものはすぐに検索して調べてみると1年間で多くの知識が身につき、新しいアイデアが生まれることがあると実体験をもとに述べられました。

次に、AIプロジェクトを試してみること。課題に対して目的を設定し、専門的なプロジェクトを回すことで、新たな知見や成果を得ることができます。ただし、無謀なことをするのではなく、AIプロジェクトの目的を明確にして、取り組むことで実践的なスキルが身につくと解説します。

そして最近では、大企業とスタートアップが連携してプロジェクトを行うケースも増えており、大企業がスタートアップへ人材を派遣し、共同プロジェクトに参加する、というような連携は現場に入り込むことができ、相互の進め方や意見交換が可能となり、非常に有益な経験となるでしょう、と付け加えました。

これを受けて國安氏は、AIを使って、どのようにAIを活用すれば良いかを学んでいただくことを考えることは重要だと指南されました。具体的には、現在取り組んでいる業務の中で、自動化できる部分やAIに代替できる仕事を見つけ、AIを活用することで、皆さんにより創造的で豊かな仕事をできるような環境になると考えています、と説明されました。

Q6. 参加者からの質問

最初の質問は、社内においてさまざまな紙のデータが大量にあり、これをAIに活用できればと考えることがあるが、データ入力するために時間を割くのが難しい。これに対して何かアドバイスをいただけますか?という質問でした。

山田氏曰く、日本は紙の使用が多い文化で、過去には紙の使用量が減ると予測されていたが実際には減っていないというデータもあると述べました。紙をデジタル化することが依然として重要で、現在はAI-OCRが進化して、簡単にデジタル化できるツールが多く存在するので、小規模な導入でも試してみることが大切だと思います、と回答しました。

そして最後の質問は、生成系AIとカスタムAIが不動産業界において脅威になるのではないかと思っている参加者もいるかと思いますが、どのように考えているかという内容でした。

國安氏は、大切なことはAIを使うのではなく、AIが代用できるかと常に考えることが重要です、と述べました。AIの分野で「ヒューマン・イン・ザ・ループ」という言葉があり、これは、AIが出した結果に対して人がチェックして修正を行い、それをAIが学習するというプロセスを指すのですが、特に不動産業界などでは、AIが判断した結果に対して人間が本来の判断力を失わないように気をつけることが重要だと力説されました。

AIは決して脅威ではなく、今後は人とAIが共存する世界がますます広がっていくと考えられます。AIが人の代用できる部分を考えることが、社会や業界をリードする要素になると思われますので、ぜひ心に留めておいてください、とアドバイスを送り、セミナーは終了しました。

■セミナー参加者の声

また、セミナー後の感想として、次のような感想をいただきました。

「ニュース等で報じられる生成AIについて、当事者の方々の生の声を聞けて興味深かった。」

「質疑応答にも出ていましたが、タイトルと異なりAIに未来というか可能性を今まで以上に感じる内容でした。」

「aiの概要を理解できました。早速実務に活かせるか、部内のDX担当者に相談してみます。」

リカーシブでは、よりAIでサステナブルな社会を作るべく、これからも事業を推進していきます。

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