中東視察レポート/AIビジネスの可能性
AIRecursive2023-06-22
2023年5月28日から6月2日までの1週間、人生初めてサウジアラビア、アブダビ、ドバイと中東の3都市に出張に行ってきました。
結論から言うと、とても興奮した状態で帰国しました。中東で我々はビジネスを展開すべきだ、と強く思っています。そして、日本の他のスタートアップにとっても一考の価値があると思い、少しまとめます。後半には、参考までに私の活動内容を記載しますが、まずは魅力的であると感じた3つの理由がこちらです。
1. 圧倒的な成長マーケット
中東は、10年で現在の経済規模を2倍にするという野心的なゴールを掲げています。その成長のエンジンとなっているのが、石油以外のビジネス領域で、その割合は経済全体の73%を占めています。様々な分野での投資が加速しており、新しいビジネスチャンスが広がっているのです。
2. 高い日本企業への関心
中東の政府、プライベートセクター共に、日本企業に対する関心は高いと感じました。ビジネスを迅速に進めていきたいというニーズがあります。しかも、日本企業のプレゼンスがまだそれほど高くないため、新規参入企業にとってはマーケットで目立つ機会があります。特にAI領域においては、競争がまだ少なくブルーオーシャンの状態とも言えます。
3. 充実した支援体制
日本の政府機関やJETROのサポートも充実しています。彼らは企業や省庁への繋ぎ込み、イベントへの紹介、様々な情報提供など、進出企業を強力にサポートしています。
これらの要素をふまえ、中東マーケットは日本のスタートアップにとって大きな魅力を持つと言えるでしょう。今後の中東進出を考える企業にとって、経済産業省やJETROが提供する支援策を活用し、またUAE政府が展開しているスタートアップ向けのプログラムをリサーチすることをお勧めします。それにより、中東マーケットにおけるビジネスの可能性をより深く理解できると思います。
追加の視察詳細
それぞれの都市での経験も少しご紹介します。 まず、最初に訪れたのはサウジアラビアでした。空港に着陸してまず気づいたのは、自分が半ズボンのまま来てしまったことでした。肌を見せてはいけないという文化の違いに初めから焦りを感じました。多くのスーツを来ている西洋人と私の服装とでは大きなギャップがありました。また、サウジアラビアの異常な暑さと砂の感触は驚きでした。
私が滞在したホテルはHoliday Innで、その快適さはサンフランシスコの有名ホテルよりも上回るものでした。ホテルの浴室も想像よりクオリティが高く、朝食も素晴らしかったのが印象的です。ビジネスにおいては名刺交換という文化がなく、我々というか日本も名刺でなくQRコードが利用されるべきだと考えるようになりました。
2日目に私たちが開発したBorealisをサウジアラビアのエネルギー庁(写真)に披露し、多大な関心を寄せていただきました。この件については、今後進んでから改めて書きたいと思います。
同日にサウジアラビア皇太子が推進するNEOMプロジェクトの一つ、「THE LINE」の展示会にも足を運びました。思想のスケールが大きすぎて、その感想を語るのは簡単ではありません。
次に訪れたのがアブダビです。シンガポールを彷彿とさせるその雰囲気、綺麗なビルと町並みは印象的でした。サウジアラビアと比較すると、熱気も多少穏やかになったのが感じられました。WeWorkとアブダビ政府が共同で展開しているHub71を訪れ、ここでビジネスを展開している日本のスタートアップの1社から様々な話を伺いました。彼らがどのように多様なセクターや人々と仕事をしているのか、ダイレクトにその楽しさが伝わってきました。
アブダビ2日目は「MAKE IT IN THE EMIRATES」というイベントに参加しました。このイベントはEnergy Centerで開催されており、様々なブースで話を聞いたり、世界から集まっているスタートアップのプレゼンを拝聴しました。さらに2日目にはラウンドテーブル形式で政府関係者、エネルギー庁、そして現地の大企業幹部との意見交換の場を持ち、次につながる貴重な機会となりました。
最後に訪れたのがドバイです。その雰囲気はどこかラスベガスに似ているように感じました。そこでSobha Limitedという不動産開発会社のVPと面談しました。彼らが開発しているタウンの規模とクオリティには驚きました。それらのプロジェクトの竣工は想像とは違って予定通りに進行しており、飛ぶように売れているとのことです。
おわりに
中東という魅力的なマーケットに触れ、今とても興奮しています。そして、スタートアップという選択を取った以上、ここでしかチャレンジできないことをやりたいという欲があり、そしてやるべきだと思っています。一筋縄ではいかないことも承知の上ですが、いろいろな助けを借りて前進できればと考えています。日本のスタートアップの皆さんにも、なにかの参考になれば嬉しいです。
Author
執行役員
Shun Wakabayashi
慶應義塾大学 (SFC) 卒業後、GEへ入社。主に金融商品に携わる。2010年、グーグル合同会社に参画。同社で新規顧客開発部門を統括した後、ムンディーファーマに転職し、シンガポールを拠点としながらグローバルのデジタルマーケティング戦略の策定に従事。その後グーグル合同会社に復職し、大手広告代理店チームの統括部長を経た後,日本を代表する小売企業数社と共にリテール業界のDXを推進。 学生時代にブラジルのアマゾンで身を持って体験した貧困・環境問題への意識とGoogleで体感したテクノロジーとデータのパワーを胸に、2022年4月にRecursiveに参画。