SDGsの達成に向けて、AIはどのように役立つのか

AISDGs2022-03-11

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SDGsは、私たちの社会をより公平で健康的かつクリーンな未来へと導くために、2015年に国連が設定したものです。

医療、クリーンエネルギー、産業の生産性など、さまざまな分野をカバーする17の一般目標があります。各目標に向けた進捗状況は、一連の測定可能なターゲットによって定量化されます。しかし、国連はこれらの目標を達成するための指針を示していません。

各国政府は現在、目標達成に向けた社会的規模のプロジェクトのロードマップを作成していますが、これだけでは十分ではありません。企業がイノベーションを起こし、先進的な技術を導入して、自社の業務をより持続可能なものにしていくことが求められています。

AIは、21世紀初頭の最も強力なツールの一つとして登場しました。生産性の向上

から、さまざまな作業における超人的なパフォーマンスまで、AIはこれまで難しいと考えられていた問題を解決できます。では、サステナビリティに関してもAIは有効なのか、と問うのは当然のことです。

最近の調査では、17の目標のうち16の目標を達成するためには、AIが重要な役割を果たすことがわかっています。これらの目標の達成に有意義に貢献したいと考える企業は、ワークフローにAIソリューションを導入する必要があります。

この記事では、国連が設定した目標の達成に向けて測定可能な進歩を促進するために、AIをどのように活用できるかを具体的に紹介します。

産業・農業の生産性向上

産業の生産性が高まれば、環境への影響を抑えながら、現代の生活水準を維持することができます。農工業の生産効率が高まれば、土地や天然資源の使用量が減り、公害の発生も抑えられます。

農業ビジネスでは、AIを使って家畜を大規模に監視し、1頭あたりの生産性を向上させたり、害虫を自動的に識別して駆除することで農薬の使用量を削減したりしています。

また、食品の自動仕分け装置を使えば、消費者の好みに合わせて食品を注文し、自動的に商品の品質を最適化することができます。これらの技術は、ここ数年大きな進歩を遂げている

自動インスタンス・セグメンテーションに基づいています。

工業生産において、インスタンスのセグメンテーションと分類は、ロボット工学だけでなく、自動品質管理検査においても重要なツールとなっています。例えば、ロボットツールは、ビジョンだけで、ビンから特定の部品を選択したり、特定のエリアにどれだけのアイテムがあるかを測定したりすることができます。

また、AIは組立ラインの統合と最適化にも利用できます。従来のシステムは、特定のタスクに最適化された個々の機械で構成されており、プロセスのギャップは人間が埋めていました。大域的な最適化や各ツールにセンサーを持たせるなどの手法を用いれば、組立ラインを完全に自動化・統合することができます。

予測技術は、過去のデータに適用され、予測的なメンテナンス技術となります。例えば、あるツールが故障しそうな時期を予測し、先手を打ってメンテナンスチームを配置することができます。また、障害が発生した場合には、AIコントローラによってリソースをインテリジェントにリダイレクトし、システムのシャットダウンを防ぐこともできます。

また、AIを搭載した自動制御システムは、エネルギー効率を最適化するだけでなく、散布が必要なエリアとそうでないエリアを識別することで、農薬の使用量を削減することもできます。同様に、食品メーカーは生産プロセスを最適化することで、原材料の使用量を減らし、最終製品のカロリーを抑えることができます。物流もまた、破壊の機運が高まっている分野です。機械学習を利用したアルゴリズムでは、公共交通機関の遅延を既存のアルゴリズムよりも最大30%高い精度で予測することができ、グラフニューラルネットワークを利用したシステムでは、Googleマップ上の移動時間を最大50%高い精度で予測することを実現しました。

これらのアルゴリズムは、グローバルなサプライチェーンや物流ネットワークに容易に適用することができ、輸送時間の短縮や、遅延による生鮮品の廃棄を減らすだけでなく、二酸化炭素排出量を削減できる可能性があります。

強化学習は、ルールや定量的な関数を用いて具体的に定義することが難しい特定のタイプのタスクを自動化するための有望な技術です。これにより、人間は反復的で頻度の低い作業から解放され、製造業におけるロボットに革命をもたらす可能性があります。

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Tiago Ramalhoさんの顔写真

共同創設者兼CEO

Tiago Ramalho

ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンにて、理論/数理物理学 修士号、生物物理学 博士号を取得。卒業後、Google DeepMindに入社。シニアリサーチエンジニアとして、強化学習、予測モデル、自己管理型学習など、最先端プロジェクトに従事しNatureなどの国際雑誌に多数の論文を発表。その後、多国籍AIスタートアップ、コージェントラボにリードリサーチサイエンティストとして入社し、来日。情報検索&質問回答、デザイン生成モデル、OCR、NLP等、様々なプロジェクトを推進。2020年8月、株式会社Recursiveを共同創業し代表取締役に就任。