AIとサステナビリティをどのように両立させますか?

AI2022-11-19

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AIは新しいテクノロジーの発展を可能にし、またAIをサステナビリティに応用することで、革命的なことになる可能性があります。多くの企業は彼らの環境、社会、ガバナンス(またはESG)の目標を達成するために、創造的な方法を探り出しています。そして、AIの活用は目標に対し、達成するための多くのソリューションを提供できます。組織のサステナビリティ・インパクトの向上は、コスト削減や売り上げ増加をもたらすことで、組織の最終収益の押し上げにも繋げられます。消費者が益々環境や社会課題を意識するにつれ、サステナビリティは組織の成功と持続性に対し、とても重要になってきています。

AIは持続可能な開発目標の達成にどのように貢献できるのでしょうか?

AIが組織のESG目標の達成に貢献する方法はいくつもあります。AIがより迅速な研究と開発戦略の策定を実現し、イノベーションをより加速させます。研究者は、自然言語処理(NLPとして知られている)とテキストマイニングの技術を使って、簡単に情報にアクセスでき、結果的に、企業の進歩や持続可能な開発目標の達成を促進します。また、AIは世界中の組織の生産性を向上させています。彼らは、人々を貧困から救い、汚染、原材料の使用、さらには土地の使用を削減できる、より高い経済的生産高の恩恵を受けています。従って、産業の生産性向上は、全面的な持続可能性の改善に大きなインパクトを与えられます。その他、予防と緩和も重要な側面です。気候変動や森林破壊、生態系汚染などによる災害が日々増加している中、潜在的な問題を適切に予測し、軽減することがより重要になっています。AIシステムは、従業員の教育の加速や労働状況の改善にも役立ちますが、目標を設定し、創造性を実現することはできません。どのような問題を解決しなければならないかを考える際には、やはり人間の意見が重要であるので、組織はアルゴリズムの作成の指示を出すことで、特定の領域の最適化を図ります。

なぜ組織にAIを活用しないといけないのでしょうか?

AIは組織の持続可能な発展目標の達成に貢献できます。科学ジャーナル「Nature Communications」に掲載された研究により、AI技術は持続可能な発展目標(SDGs)の17項目に強い影響を与えられます。どんな新しい技術でもマイナスの影響を及ぼす可能性はありますが、これらの技術のプラスの影響は、引き起こす可能性のある被害を大幅に上回ります。AIは、持続可能な解決策に必要不可欠であり、組織の持続可能な開発目標の達成及び経済的利益の獲得の両立も実現できます。

AIはどのように組織のサステナビリティ目標の達成に貢献してきましたか?

AIは、世界中の組織にとって、何兆円もの資金を引き出す可能性を持っています。AIを念入りに実装、展開すれば、以下のようなESG目標を達成できます:

1.データセンターの冷却 世界中の組織は時間とお金の節約、サステナビリティ目標の達成の為に、AIを活用しています。例えば、グーグルはデータセンターにAIを導入することで、電力効率を数パーセント改善し、毎年数百万ドルのコスト削減につながりました。さらに、ハイパースケールデータセンターをより効率的に運用できたことで、ローカルワークステーションよりはるかに高い出力を実現しました。同社は、DeepMindチームに、データ上のディープニューラルネットワークをトレーニングし、エネルギー効率のより高い冷却システムを開発したことでこれらを達成し、エネルギー効率の大幅な向上、二酸化炭素排出量と運用コストの削減を実現しました。

2.家畜の飼育 農業において、畜産の農場は多くの二酸化炭素を排出しています。代替肉を作ろうとする努力は沢山ありますが、まだ大量生産は現実的ではありません。今、注目されているのは、二酸化炭素の排出量をいかに効率的に減らし、より手頃な価格で栄養獲得を目指すことです。畜産場の動物は常に人間による世話を必要とし、それらは多くの手作業となります。北京Unitrace Techは、AIで各動物の行動や習慣を監視する顔認識ソフトウェアを開発しました。この技術は、ディープラーニングシステムを通して病気や異常な行動を検出できます。今のところ、豚は顔認識で検出するのが難しいため、牛向けにのみ開発されています。人の介入を必要としない為、作業員が物理的に家畜を監視する時間を大幅に短縮できます。

3.有害なスピーチの検出 AI技術は自然言語処理を使って、ソーシャルメディアプラットフォーム上の発言を監視し、ヘイトスピーチなどの有害なスピーチパターンを検出できます。例えば、Facebookは自然言語処理を利用して、いじめや人種差別、暴力的な内容を含む投稿などの有害な言論を規制しています。もう一つFacebookが抱えている大きな課題は、誰でもニュースを投稿できるプラットフォーム機能を悪用したフェイクニュースの拡散です。Facebookは公開された内容を人間の手で管理できないので、自然言語処理はとても重要な役割を果たせます。さらに、このシステムは学習したことを蓄積していく機能を備えており、訓練データ以外の学習した情報も検出できます。持続可能な開発目標を人の手のみで達成することは、不可能だと感じられます。何を測定すべきか、それが社会の関心を寄せている問題とどう関連するのかが明確ではないことも多いです。AIを活用することは、ESG目標の達成に大きく貢献し、時間の節約になるだけでなく、全体のコスト削減にもつながります。

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共同創設者兼CEO

Tiago Ramalho

ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンにて、理論/数理物理学 修士号、生物物理学 博士号を取得。卒業後、Google DeepMindに入社。シニアリサーチエンジニアとして、強化学習、予測モデル、自己管理型学習など、最先端プロジェクトに従事しNatureなどの国際雑誌に多数の論文を発表。その後、多国籍AIスタートアップ、コージェントラボにリードリサーチサイエンティストとして入社し、来日。情報検索&質問回答、デザイン生成モデル、OCR、NLP等、様々なプロジェクトを推進。2020年8月、株式会社Recursiveを共同創業し代表取締役に就任。