AIが果たす持続可能な林業における役割
クライアントの背景
住友林業株式会社と株式会社IHIの合弁会社、株式会社NeXT FORESTは熱帯泥炭地の持続可能な管理を目的に設立されました。AIを活用し、インドネシア・西カリマンタンを中心とした世界の熱帯泥炭地の保全と地域経済の発展を両立させるコンサルティングサービスを提供することで、CO₂排出削減や森林火災の抑制に貢献します。
課題
熱帯泥炭地は地下水位が重要で水位が下がると乾燥し非常に燃えやすく森林火災の原因になります。一方で地下水位が高くなりすぎると樹木の生育を妨げるため地下水位は適切に調整し続けなくてはなりません。
しかし、地下水位の予測と管理は従来、熟練した技術者の経験と勘に頼る部分が大きく、時間と手間がかかる非効率的なものでした。従来の方法では、50cm間隔の等高線を作成するため、詳細な地形測量は専門家による長期間にわたる現地調査が必要でした。
Recursiveのソリューション
Recursiveは、地下水位を効率的に予測・管理するため、ハイブリッド型AI物理モデルを開発しました。この革新的なモデルは、機械学習と地下水のシミュレーションを統合し、効率的な水資源管理を実現しています。
ソリューションの構成要素:
- 現在の地下水位の推定: 地中センサー、植生データ、地形図を組み合わせて、リアルタイムで正確な地下水位を推定
- 将来の地下水位予測: 現在の地下水位推定、天気予報データ、灌漑用水路情報、仮想ダム操作、物理システムの知識を処理して、7日先までの地下水変動を6センチメートルの精度で予測
- リスク通知: 地下水位が火災リスクを高める閾値に近づいた場合、関係者に早期警告を発し、迅速な予防措置が可能
成果
RecursiveのAIによる地下水管理ソリューションの導入により、以下の重要かつ測定可能な成果が得られました:
- 1,200 km²のカバー範囲: 広大な熱帯泥炭地の効率的なモニタリングと管理を実現。
- CO₂削減: 森林火災を未然に防ぎ、炭素排出を削減することで、気候変動対策を支援。
- 運用効率の向上: 手作業による調査の必要性を削減し、熟練技術者に依存するプロセスを最小化。
- 資源管理の最適化: AIによるシミュレーションを活用し、ダムや灌漑用水路の配置を効率化。
お客様の声
「Recursiveは豊富な実績と優れた技術者を擁しています。工学的な視点に加え、生物物理学の知識を有していることは、非常に大きな強みであり、大きな安心材料だと感じました。」
住友林業株式会社 資源環境事業本部 理事・副本部長 加藤剛志さま