企業における大規模言語モデルの価値 Part.2

AI生成AI2023-03-14

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「企業における大規模言語モデルの価値」についてPart.1〜Part.4の全4回に分けて特集します。Part.2は、「大規模言語をビジネスで使うには?」「1.ナレッジワークを加速させる」「2.非構造化データの処理」についてです。 Part.1はこちら

大規模言語をビジネスで使うには?

前回の記事では、大規模言語モデル(LLM)の可能性と、ビジネスの世界でユビキタスになる可能性について述べましたが、実際にこれらの技術をどのように使って自社の業務を改善できるのか気になるところでしょう。

そこで、企業におけるLLMのさまざまな応用例をまとめてみました。この記事では、LLMが解決に役立つ問題の種類や、既存のワークフローに統合する方法についてお伝えします。

1. ナレッジワークを加速させる

LLMは、「文章作成システム」として使用することで、典型的なオフィスワーカーのワークフローを加速できます。これは、ユーザーから提供されたプロンプトに基づいてテキストを素早く生成するLLMの能力のことを指します。

例えば、典型的なオフィスワーカーが、複雑なトピックに関するレポートを書く必要があるとします。何時間もかけて調査し、レポートを作成する代わりに、LLMを使用して最初のドラフトを生成できます。例えば、「ビジネスにおける人工知能の活用の利点についてレポートを書いてください」というような指示をモデルに与えるだけで、モデルが完全なレポートを生成し、それを編集して改良できるのです。

また、オフィスワーカーの時間を大幅に短縮し、生産性を向上させることができます。調査や執筆に何時間も費やす代わりに、作業者は注意を要する他の仕事に集中することができます。また、LLMを使用することで、よく練られた首尾一貫したテキストを生成できるため、文章の質を向上させることも可能です。

ここで重要なのは、LLMを「文章作成システム」として使用することは、人間の入力や編集の必要性を代替するものではないということです。モデルは最初の原稿を生成することができますが、そのテキストが特定のニーズや要件を満たすように編集し、洗練させるのはユーザー次第なのです。

LLMにプロンプトを提供するだけでなく、ユーザーは別のプログラムから構造化データを提供し、モデルがその言語をレポートに取り込むこともできます。これは、構造化データと自然言語の組み合わせを必要とするレポートの作成に特に有効です。

例えば、販売チームが製品の性能に関するレポートを作成する必要があるとします。このケースでは、ユーザーが表計算ソフトでデータを作成し、そのデータをLLMに提供します。このモデルは、そのデータを使って、自然言語フォーマットでデータを組み込んだレポートを作成できます。レポートには、どの製品のパフォーマンスが高いか、どの製品のパフォーマンスが低いか、パフォーマンスを向上させるためにチームが取るべき行動についての洞察が含まれているかもしれません。

構造化データをLLMと組み合わせて使用することで、ユーザーは正確で読みやすいレポートを作成できます。構造化データは必要な情報を提供し、言語モデルはそのデータの周りのストーリー生成に役立ちます。

2. 非構造化データの処理

非構造化データとは、特定の方法で整理されていない情報のことです。例えば、長い段落のテキストは、特定のフォーマットや組織を持っていないため、非構造化データです。

一方、構造化データとは、特定の方法で組織化された情報のことです。例えば、列と行を持つ表は特定の形式と組織を持っているので、構造化データです。

LLMは、非構造化データを「読み」、構造化されたフォーマットで関連情報を抽出するために使用できます。例えば、売上に関する情報が記載された長い文書がある場合、LLMを学習させれば、関連する売上データを特定し、表などの構造化されたフォーマットに抽出することができます。これにより、データの分析や作業をより簡単に行えます。

特にサプライチェーン業務では、電子メールや請求書などの文書形式の非構造化データが大量に存在することが多いので、このようなケースは有効です。このような非構造化データを分析することで、LLMは、従来のデータ分析手法では明らかにならなかったパターンやインサイトの特定に役立ちます。

例えば、LLMは、サプライヤーとバイヤー間の電子メールやその他のコミュニケーションを分析し、サプライチェーンにおける潜在的なボトルネックや遅延を特定することができます。また、顧客からのフィードバックやソーシャルメディアデータを分析し、消費者の需要の傾向やパターンを特定するために使用することも可能です。

さらに、LLMは、追加のデータソースを取り込むことで、需要予測モデルの精度を向上させるために使用できます。例えば、LLMを用いてニュース記事やソーシャルメディアデータを分析し、消費者需要に影響を与える可能性のあるトレンドやイベントを特定することもできるのです。

Part.3へ続く

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Author

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共同創設者兼CEO

Tiago Ramalho

ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンにて、理論/数理物理学 修士号、生物物理学 博士号を取得。卒業後、Google DeepMindに入社。シニアリサーチエンジニアとして、強化学習、予測モデル、自己管理型学習など、最先端プロジェクトに従事しNatureなどの国際雑誌に多数の論文を発表。その後、多国籍AIスタートアップ、コージェントラボにリードリサーチサイエンティストとして入社し、来日。情報検索&質問回答、デザイン生成モデル、OCR、NLP等、様々なプロジェクトを推進。2020年8月、株式会社Recursiveを共同創業し代表取締役に就任。

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